Sweet Smell 12・1月号

先日福岡(アクロス福岡)にて開催された第10回アロマセラピー学会で口演してきました。会員は原則医療従事者で、現会員数が約3000名と年々増加しております。

演題名は"妊婦・授乳患者における蒸気吸入(ティートゥリー)の有用性"です。以下に簡単に示します。

(対象と方法)

  1. 妊娠中3名、授乳中9名の鼻アレルギー患者計12名
  2. 受診の都度、鼻処置後に滅菌精製水20mlにティートゥリー(プラナロム社製)0.03mlを加えた蒸気吸入器にて約5分間蒸気噴霧した。
  3. 初診時と2週〜3ケ月経過時との比較を鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会によるSymptom scoreを用いて判定した。
    症状の程度分類
    @1日のくしゃみ発作回数 A1日の鼻漏回数 B鼻閉塞を0〜4の5段階に分類。
    重症度分類
    上記の程度分類より、最重症、重症、中等症、軽度、無症状の5段階に分類。
  4. 治療期間中は内服・点鼻液・外来手術等の加療は一切行わないこととした。

(結果)
ほとんどの患者にてくしゃみ回数・鼻汁回数の減少、鼻閉塞の軽減を認め、重症度分類でも10例にて改善を認めた。

(考察)
ティートゥリーの主成分であるテルピネン-4-オールが単球から産生されるIL-1β、TNF-α、PGE2などの炎症性サイトカインを抑制するために症状が軽減されるのではと考えた。

(結論)
ティートゥリーを用いた蒸気吸入は、鼻アレルギー患者に対する症状改善に効果を認め、内服・点鼻液の副作用が懸念される妊婦・授乳婦に対しての補完・代替療法となりうる可能性が示唆された。今後、症例数を増やした上で、精製水単独群とティートゥリー群との比較検討も必要と思われる。

他には香りと摂食調節、香りと自律神経などの基礎系な演題やスポーツアロマ、"香気"漢方、フィジカルピーリング、など興味深い話題が目白押しでした。前夜の懇親会ではアロマで著名な先生方との談義や名刺交換に花を咲かせました。私の家内がフィジカルピーリングのコメンターとしてイベントホールのステージに立ち、羨ましく思いました。(ちなみに私の講演は小会議室でした)