Sweet Smell 12・1月号

1年半もの間、準備奔走してきた日本アロマセラピー学会熊本総会を平成25年10月13日・14日に実行委員長として開催することが出来ました。このSweet Smell は従来、学会参加のテーマの際は演題タイトル、演者名、演題内容、それに対する私の感想を羅列してきましたが、今回は準備内容や総会当日・終了後の感想を述べたいと思います。

10名程から成る実行委員会を立ち上げ、総会までに熊本や福岡にて計8回開催して用意周到に準備してきました。例年プログラム集が手元に届くのが開催1〜2W前で遅いと感じていただけに、とにかく発刊時期は早めにとハッパをかけ、なんとか1ヶ月前の刊行にこぎつけました。また心配していた天気ですが結果的には好天に恵まれましたが、台風が太平洋上に発生したというニュースを聞いただけで毎回肝を冷やす思いをしました。

開催しての感想とはいうと、ただ会費を払って参加するだけと、実際に運営に関わるのとでは想像以上に様相が異なることを痛感しました。まず予想外の参加者の出足(朝8時には早くも少しずつ来場)にて受付開始時間の時点で会場外は長蛇の列で案の定、受付は大混雑し総会初日の開始時間を20分も延長しました。しかも10月上旬の割に外は意外と寒く、待っている方々を中に入れざるを得ず、余計に受付周囲の混雑に拍車をかけることになりました。

学会場でのクロークについては実行委員会にて実践しようと提言したのですが、大型ホテルのように手慣れているところならともかく、公共の施設にて自分らだけで行うのはトラブル(紛失など)の元に成りかねないとの意見より今回はやむなく断念しました。そのため期間中の会場内はキャリーバッグを転がす若い女性であふれかえる事態となりました。その光景をみて普通はクロークをやはり施行すればよかったとの思いにかられるところでしょうが、私は逆にやはり導入は困難であっただろうと感じました。

事前の予想通りに難しかったのはお弁当(モーニングセミナー1種・ランチョンセミナー2種)の手配です。今までは並んでいたのに結局お弁当をもらえず腹ただしい思いをしたり、大量に余っている弁当を見て勿体ない、もう少し数が予想できただろうにと感じていました。
しかし仕切る立場になってみると折角来て頂いた方々には全員に弁当を提供したい思いが強い反面、大量に余るのはやはり予算的にも問題であるというジレンマに直面しました。が、結果的には2日間で30個ほどの残余で済みました。今回は候補メニューを事前に皆で試食した上でのレストラン、弁当決定としました。

また総会終了後、参加者より寄せられた中で最も多かったのは懇親会(写真)の料理が抜群に美味しかったという意見です。 揚げたての辛子蓮根というのを初めて食しました。他、四川料理で名高いホテルキャッスル自慢の海老チリ、フォアグラ丼、古典式杏仁豆腐が評判良かったです。

他学会、当院(匂いと香りの)セミナー、各種イベント等でいつも実感していますが、参加者というのは、少し極論ですが講演内容よりもむしろ料理内容の方が強く印象に残り、それがまた次回参加するか否かの判断材料に繋がるものと改めて認識した次第です。

演題に関しては特に一般演題エントリー全37題に関連する準備・処理(各抄録原稿の遅延、抄録内容の発表者との意見交換、突然の発表辞退、新設された若手奨励賞)に骨が折れる思いでした。加えて当日は立ち見が20人以上出て、座席追加に奔走するという程の超満員で、ドアを閉めれば出入りしにくいし、逆に開ければ外の廊下の騒音が煩わしい羽目になり、結局はドアは閉めたままとするなど二転三転しました。

ちなみにこのように比較的狭い会場では100人程でも充満感があるので、参加者は「立ち見が出るかなりの入りだった」との感想になるのに対して、広いキャパの会場(大ホール800人収容)では実際は前者よりもずっと多い人数(具体的には200〜300人程)であるにも関わらず、見た目は閑散としているため、「あまり人が入っていなかった」との感想となり、難しいものだと実感しました。しかしこのことは常日頃より病院待合室、レストラン、スポーツなど各種イベントでも感じていたことで、どちらがいいのかの判断は主催側の意向(見た目の印象、経費など)次第と思います。

またスタッフからは発表時間の超過オーバーを示すタイマーを押すのにピピピではうるさいし、ピでは発表者が気づきにくいとのことで、ピピで止めるのが意外と難しかったとユニークな感想を聞きました。

他にはリンパ浮腫セッションが私の想像以上に大盛況であったこと、市民公開講座オープニングのくまモンが開始10分前でも姿を見せず、ようやく「くまモンは13時02分開始決定」とのスタッフ連絡を聞いて安堵したこと、芋焼酎香り提示に250人も訪れたと感謝されたこと、インカムがほとんどうまく使えないまま総会が終了したこと、匂いと香りの図書室アンケート結果の配布に苦労したこと、ドリンクコーナーのシークワーサーが美味しいけど酸っぱ苦すぎたこと、大橋マキさんを展示ブースに案内したら興味を持ちすぎて時間的にヤキモキしたことなどが印象に残っています。
またお世話になった先生方の演題をほとんど聞けなかった事はかなりの心残りでした。

500人以上の参加で、かなりの黒字を計上でき、周囲の方々より盛況であったとの評価を頂き、谷川会長を初め、学会事務局、実行委員、当院スタッフ(写真)、演題発表・参加者、そして出展・広告・寄付にご協力頂いた企業の皆様方には感謝しております。

しかしながら終始、学会本部初め周囲との意思疎通で苦労しました。本部は当然のごとくマニュアル通りに且つ経理面でもできるだけ支出を抑えてとの意向ですが、実行委員長である私と言えば、従来とは異なるできるだけ斬新・奇抜なアイディア・企画を良しとし、そしてその実現のためにはある程度の経費も厭わないというスタンスですから、迎合しづらいものがありました。

また総会終了後には開催前には予想できなかった収支への対応策もまた混乱を極めました。

今回の総会において当院セミナーのこれまでのノウハウを活かして、2度と味わえない貴重な体験をさせてもらったのは事実ですが、相手への交渉、経理、企画内容、参加呼びかけなど全てを自分が中心になって行う当院セミナーの方が個人的には気が楽で、満足度もはるかに高いという思いは当分覆りそうにもありません。