第52・53回 平成26年9月18・25日 13:00〜16:30
開聞山麓香料園ツアー(参加者29・20名)


今回は日本古来(昭和16年開園)のハーブ園で約300種類のハーブが栽培されている開聞山麓香料園でのセミナーを2週連続で催行しました。園長・副園長の宮崎泰・利樹先生とは前回の島津重富荘での認知症セミナーにご参加頂いたことがご縁となりました。1週目は主にコルテーヌ、月桃、レイラインの方々を中心に、2週目は主にNARD熊本校、NARD伊集院校の方々を中心に計49名御参加頂きました。

鹿児島市より車で1時間30分の指宿市(旧:開聞町)に同園はあります。樹木で放射状に仕切られた駐車場の真ん中に同園のシンボルである芳樟(ほうしょう)の木が聳え立っています。芳樟はクスノキ科で、匂いクスとも言われ、昔台湾ではは臭樟と呼ばれていましたが、樟脳の含有量は少なくリナロールが主な香り成分であることが判明してから"芳"樟と呼ばれるようになったそうです。落ち葉でも十分に匂いが感じられ、各々の葉で香りの濃さが異なるのが判るほどです。

▼水蒸気蒸留用タンク
水蒸気蒸留用タンク

 

まず最初は工場にて、芳樟の水蒸気蒸留を見学しました。中に入ると鉄製の500kg入りの大型の釜より蒸気が噴き出しており、室内はフレッシュな青臭いにおいで充満していました。それは精油に比べると若干物足りないという、それまでの芳香蒸留水に対する私の概念を覆すに充分すぎる程、濃厚なにおいでした。

次に園内売店「花と香りの店」に移動し商品を買い求めました。私は芳樟と、レモングラスの精油を購入しましたが、やはり格別な柑橘系の香りでした。またアンティークな香水も陳列されており、同園のステータスとも言うべき、昭和27年より久邇(くに)宮様(皇太后のお兄様)よりご依頼されて作られている久邇香水を頂きました。芳樟の緑の香りと、ボディパウダーとが程よく凝縮された優雅な香りです。

▼ハイビスカスシャーベット
ハイビスカスシャーベット

 

 

休憩として園内喫茶にてランチを頂きました。特にハイビスカスのシャーベット、かぼちゃのプリンが美味でした。が、何よりお添えのミントの鮮烈な風味に驚きました。葉が少し黒みがかっているのが特徴のブラック(イングリッシュ)ミントだそうです。

▼農園散策
農園散策

 

 

 

その後、園長先生の案内でハーブガーデンを散策しました。フェンネル(茴香)、チャービル(セルフィーユ・茴香芹)、コリアンダー、イタリアンパセリ、ヘンルーダ(ミカン科・黄色い花弁)、レモンバーベナなど満喫しました。
珍しい植物2つを写真供覧します。

▼マグノリア
マグノリア
▼時計草
時計草

 

▼園長先生講話
園長先生講話

最後に先生の講話をお聞きしました。園長先生のお父様が曽田香料にお勤めしていた関係で、昭和20年代は農場内で贅沢にもローズ・ゼラニュームから成る"香りの滑り台"で遊んで過ごしてきたとのことです。しかしその一方で、昔はまだ匂いへの理解が乏しく、高校生の時に男なのに香水をつけていると先生に誤解されたり、東京へは航空便での発送となるので、費用、時間的に最近は苦労しているといったお話を頂きました。

現在、我々は何の心配もなしに香りやアロマに従事したり、楽しんだりしていますが、その背景には先人の困難な道のりがあったことを忘れてはならないと思います。今は3日に1回、瓶の蓋を開けてのガス抜きを怠らず、保管している冷蔵庫を日々開けては芳樟ハーブウオーターの香りの"成長"を嗅ぎ楽しむのが私の日課となっています。