第54回 平成26年11月20日 19:00〜21:30
認知症と香りpart2(参加者25名) in ラ・カロッツァ(福岡)
今年2月にTVの某番組でアロマセラピーが、認知症の患者に対してある程度の効果を示したと放送されて以降、全国のアロマショップにおいて後述4種の精油が売り切れ続出など、世間的反響が大きいため、本年6月に鹿児島にて第50回記念セミナーとして開催しました。その後も「においが判らないのは認知症だからなのか」「物忘れが激しいので認知症のための嗅覚検査をしてほしい」という患者さんが当院を訪れています。そこで今回は福岡にて同様のテーマでセミナーを催行しました。
西別府茂先生の乾杯に続いて、私より「認知症と嗅覚障害」「認知症とアロマセラピー」という内容でスライド発表を行いました。認知症の初発症状として嗅覚障害が注目されており、基準嗅力検査という検査方法で、検知域値と認知域値との差が2.0以上を示した場合、認知症の可能性ありと判定することを説明しました。また認知症に対するアロマセラピー(午前中にローズマリー&レモン、午後にラベンダー&オレンジの芳香浴)の研究内容を、鳥取大学在局中に浦上克哉教授のもとで共同研究された神保太樹先生(昭和大学医学部)より一部スライドをお借りして報告しました。
また料理は全てにおいて上記4種のいずれかを素材として用いたメニュー(仔羊のポルペッティーニ ローズマリーの香りで 他)としました。
恒例の「匂いと香りのクイズ」ですが、これはある匂いを嗅がせて、実直に自分の言葉でアピールして(いわゆる官能表現)、個々の表現力を競うクイズです。今回はナフタリン、ベンゾイン、夏の日帰りの干し草、古いタンスの奥、何十年物のウイスキー、健康に良いもの、スモーク、森林、養命酒、クレゾール、咳止めシロップ、イカの燻製、古い病院、イソジン、正露丸、樹液を吸った虫、さくらチップ、蟻をつぶした時のにおい、フルーティー、潮などかなり多彩な返答を頂きました。使われたアルコール類はラフロイグというピート臭(泥炭)で有名なスコッチウイスキーでした。ソムリエの主観に基づく判断により「湿った森の中での腐った木々」と答えた井上和子様が優勝されました。1種類の対象物に対する感受性の遥かなる個人差を目の当たりにして、やはり嗅覚は視覚、聴覚とはかけ離れた感覚であることをつくづくと実感しました。
会の初めに自己紹介を行いましたが、参加の方々が自分の職業や活動内容を周知させるために、今までのセミナーの中で最も熱心にスピーチをされていたのではないかと思いました。また匂いクイズでは決してウケ狙いではなく、自分の感じた"ありのまま"を自己発現するといった素直な姿勢に圧倒されました。医学部時代に6年間住んでいましたが、福岡という土地柄はやはり情熱的な気質で、改めて芸能人を多く輩出しているのが判る気がしました。
それにしても「樹液を吸った虫のにおい」、「蟻をつぶした時のにおい」って・・・。今度本当にラフロイグと同様のニオイなのか、自分で嗅いで確かめてみます(笑)。