第56回 平成27年6月18日(木) 13:00〜16:30
マナーハウス島津重富荘 リヴィエール(参加者86名)


認知症と香り -ローズマリー&レモン ラベンダー&オレンジ-

認知症患者に対するアロマセラピーに臨床的効果が見られる可能性がある、と各方面で報道された昨年は上記4種の精油が全国で品薄になるという事態が数か月続き、今年もまだその余波が続いています。そこで今回も認知症と嗅覚障害&アロマセラピーというテーマとしました。

昨年と同じ内容、当日の大雨によるJR不通などにも関わらず、大勢の方々に御参加頂き、もりやま耳鼻咽喉科の森山一郎先生の乾杯挨拶で会は始まりました。近年の参加者増加に伴ってマイクスピーチでの自己紹介は時間がかかるので、今年はスライドショーで来場者の氏名、職種、資格等を紹介呈示という形式を取りました。また今回は佐多岬オーガニクス株式会社からの即席販売会の申し出があり会に華を添えて頂きました。

▼平山貴久先生
平山貴久先生

会の序盤、私が最初に「認知症と嗅覚障害、アロマセラピー」にて演題発表を行いました。認知症の初発症状である嗅覚障害について、まず老化現象による嗅覚障害と認知症による嗅覚障害との相違点として第一に自覚症状として前者はにおいそのものが判らないのに対して、後者はにおいは一応するものの、正確なにおいが識別できないということ、第二に病態メカニズムとして前者は嗅上皮における嗅細胞の加齢による量的減少がそうであるのに対し、後者は海馬や隣接する嗅内皮質の変性が主因であることを述べました。そして基準嗅力検査における検知域値と認知域値との差が2.0以上であることが両者の鑑別の一つになることを付け加えました。

▼平山先生スライド
平山先生スライド

 

続いて認知症に対するアロマセラピーとして午前中にローズマリー&レモン、午後にラベンダー&オレンジを用いた芳香浴にてサーカディアンリズムの是正を図るという鳥取大学医学部浦上克哉教授、昭和大学医学部神保太樹先生らの研究成果を簡単に報告しました。

次に厚地脳神経外科の平山貴久先生が認知症の基礎知識として、糖質制限やココナッツオイルが注目されていること、日常生活において単なる物忘れと認知症とを見極める方法、頭部CTと頭部MRIとの使い分けや撮影するタイミングは各Drで結構違いがあるということなどを口演頂きました。

▼新玉葱、レモン、バニラのスープ
新玉葱、レモン、バニラのスープ

 

今回も全ての料理において上記4種のいずれかを料理の材料として用いたメニューとしました。

恒例の「匂いと香りのクイズ」は、見た目は真っ白の冷製スープで第1問は素材として@じゃがいもAかぶB新たまねぎCブロッコリー、第2問はそのスープに加えてあるのは@ローズマリーAレモンBラベンダーCオレンジを各々四択問題としました。

▼匂いと香りのクイズ
匂いと香りのクイズ

 

 

2問とも正解であった約10名を対象に、第3問として今回のスープの根幹となる第3の素材をフリートークで答えてもらったところ、バニラ、ベンゾイン、バニラビーンズ、シェフの愛情など珍しく集約された意見となり、3名の方々を同時優勝としました。試食の時よりもバニラは薄味だったので皆さん鋭敏な嗅覚をお持ちと舌を巻いた次第です。

さて今回は送迎バスの手違い、受付にて名前が見つからない、受付に時間がかかるといった不備が起こってしまいました。更なる検討を重ねて、より細分化されたマニュアルを作り、マンパワーも増やして来年の"10周年記念"に臨みたいと思います。